[ Black 〜黒い手帳〜 ]
「眠った方がいい」
篁はエヴァンスの耳元で囁き、腕を出したために捲れたブランケットを整えてやった。『森澤』らしからぬ反応に、彼のままならない瞼がピクピクと動く。
「カオル…?」
どうにかして開けようと試みるその瞼を手で塞いで、篁は無言で眠ることを促した。瞼の下で微かに目の動きを感じたが、諦めたのか、やがて止まった。
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